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29 January

人殺し。

最近漫画でよく人が殺されています。
これについて、描き手がどの程度責任を持っているのか疑問です。

現実的な問題を言えば、人間を殺すのって大変なんです。漫画みたいにぱたぱた死んだりなんてしない。
人が刃物で人を殺すには最終的には失血死です。つまり即死なんてしない。人には脂肪や骨や筋肉があるから、生命に深く関わる器官を的確に傷つけるってとても難しいんです。だから下手糞に膾斬りにして苦しめた挙句、失血死させる訳です。
銃だって、脳髄きちんと吹き飛ばすか心臓の側に当ててショック死させない限りは激痛で転げまわる程度です。
狙った場所に弾を当てるには、訓練と経験が必要で、訓練と経験を積んでる人は、人の生き死にに関してきちんと考える時間を必然的に持つ。人を殺すことに何かしら責任を持ってる訳です。

少なくとも私は人を殺す必要があったら、もっと効果的で相手が苦しまない方法で殺します。刃物もロープも銃も使いません。そりゃもう漫画的に地味すぎて絵にならないから編集さんに「ここ直さない?」って言われて喧嘩して編集折れさせるような地味で静かな殺し方で。当然そのあとは自首して漫画なんて描かないでしょう。殺すっていうのは相手の人生を全て背負うことですから、自分の人生を捨てる覚悟で相手の人生を奪わなきゃならない。

上の段落が何をいいたいかと言うと、漫画のような人の死に方ほど非現実的なものはないよってことですが。

まぁ、私は漫画を死ぬまで描く野望があるし、人を殺すことほど詰らない解決策も他に無いことを知っていますからやりませんけどね。正直気持ち悪いです。人を殺すに値することって早々存在しない。ほんっとーに無い。自分を殺してまで人を殺したい人は、その相手しか自分の世界に存在しない人だけでしょう。


漫画の中で人を殺すなと言っている訳では無いんです。私は無残に殺される様はやはり無残で冷酷だと思うから、無残で冷酷に描くべきだと思います。こんなことは断じて成らない悪夢だと描いて訴える責務があると思っている。ただし、嘆くのは周りの人物であって死体でも血でもありません。だからそれらを敢えて忠実に描く必要はない。

世間で「子供の情操に配慮」などと馬鹿げた話をして、体に刃物が刺さってるのに血を描かない描写がありますが、とんでもない。皮膚が裂ければ血が流れるのは転んで擦り傷を作ったことがある子供なら知っています。
子供向けなどと謳うならば、体に刃物が刺さるというその絵の構図がそもそも間違ってる。

昔の漫画は「成敗」だった訳です。

「でやー!」(飛び掛る主人公)
うわー!(弾き飛ばされる敵)
ばたばたばたっ(倒れる敵)

敵の体のどこに武器があたったとかそういうのは誤魔化して、主人公が敵を倒したということに注力して表現をしていた。

大体、コマ内を真っ赤に染めるほど人間血しぶきなんて上げられない。血を崇拝する人間の過剰な表現が広まってるだけなんです。
それだけ血を流して死なないなら超人だから表現としてぶっ飛んでるで済みますけれど、それで殺してしまったら「蛋白質製のペンキ缶ぶっ壊してただコマを真っ赤に染めたかっただけだろ」と思われても仕方がない。

まったくもって怪しからん。


まぁ、血とかの表現は趣味の問題なのでよくよく考えて拘って頂ければ構わないんですが。


問題は、
そのキャラクターを殺した意味が、その作品内できちんと描かれているかどうかって言うことなんです。

例えば、そのキャラクターが身をもって戦争の悲惨さを訴えてる、とか
例えば、そのキャラクターが死んだことで、主人公が深い悲しみを示しながら決意を深くする、とか
例えば、そのキャラクターが死んだことで、世の不条理を訴えて、主人公に疑問を投げかける、とか
例えば、そのキャラクターが本当に殺されるほど自業自得な存在である、とか

それらを作者がきちんと描ききれているか、とか。

特に一般人という属性を付加されたキャラクターがまざまざと殺されていく様は無残でしょうがない。
戦いに身を置く戦士なら死ぬ覚悟もあるでしょう。そうでないキャラクターを態々殺す意味を、きちんと作者が提示できていない場合、本当に無体なゴミのように扱われてしまう。

別に何描いても人の自由だけど、メディアである以上、人に影響を与えるのだから、読み手のためになるものを描かなきゃならない。少なくとも、特にこれから何でも覚えていく子供相手は特に。それがプロってものだと思う。

まぁ、つまりこれらは商業誌の話です。もう正直言って、そういう意味のない人殺し描写は同人誌で好きにやってて欲しい…。
人の死に全て意味があるかどうかは人の解釈次第ですが、漫画は作者の作為である以上、意味を作ってあげることが出来るんです。命を大切にしてあげられるんです。

大人が命を大切にしない様を見ているから、子供が命を大切にしないんですよ。


あーもー!
そういう描写を甘やかすどころか持て囃す出版編集陣に嫌悪感を感じてしまう。お前ら読者アンケートの年齢データとかちゃんと取ってるんだろうーーーー?!!

火曜日だから具体的にどのタイトルがトリガーかバレてしまいそうだけど俺は躊躇わない。本当にあのタイトルは残念だよ…。絶対アレは編集者が悪いよ…。いや、知らないけど。

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